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先日行われた、任天堂の定時株主総会 質疑応答において、ここ数年高騰するゲームの開発コストについて言及しています。

Q: 任天堂ビジネスの一番の核であるゲーム産業において、今最大の問題というのは1本のソフトにかかる開発費の高騰と開発期間の長期化があると考えているが、この問題に対してどう挑もうとしているのか。


君島社長:

 確かにここ10年ぐらいの間にゲームソフトの開発コストは増大してきています。「お客様に受け入れられるゲームを、いかに受け入れられる規模に見合ったものにつくれるか」というのは算式で簡単に出るものではありませんので大変難しいところですが、それをきちんと念頭に置きながら開発をしていくことが、これからますます重要になってくると思います。

竹田玄洋:

 長い間、ゲームのコンピューター性能というものは、お客様の楽しさのためだけに使われるべきだとされてきましたが、ゲームソフトをつくるときの生産性向上のためにも、性能を使う時代が来たということが一般論で考えられると思います。ただ、メリハリをどうつけるかということが一番重要ですから、そういうメリハリをつけながらソフト開発の生産性を上げるのに、長い間苦労してきた宮本にこれ以上の説明のバトンを渡したいと思います。

宮本茂:

 どこでメリハリをつけるかという点においては、重厚になりすぎないつくり方も大事ですが、「いかにたくさん売れるソフトをつくるか?」しかありません。私たちのビジネスはどこかで大ヒットするものがあるから、それらが他の失敗を支え、また別のチャレンジができるということになります。その意味では、少なくとも200万本単位で売れるソフトをつくるというのが基本だと思います。日本だけでソフトを販売し、30万本程度の販売では、全然コストを回収できないので、グローバルマーケットを基準にしています。

www.nintendo.co.jp/ir/stock/meeting/160629qa/05.html


Wii U初期のソフト不足についても、宮本さん自身、HD開発の規模を把握できなかったことが、開発遅延の原因になったと語っていました。今は慣れてきたそうですが、それでも膨らみ続ける開発コストはNXでも引き続き大きな課題になるかと思います。

宮本さんによると、グローバル市場を基準に考え、全世界で200万本単位で売れるソフトを作ることが基本であり、国内だけで30万本程度では全然コストを回収できないとのこと。勿論これは全てに当てはまるわけではなく、『マリオ』『ゼルダ』規模のソフトのことを差しています。

結局、開発費を抑えるには「重厚になりすぎない」というのが一番のポイントになってくると思うので、重厚長大なゲームを求める据置機ユーザーと、手軽にゲームを遊びたい携帯機ユーザーとのメリハリがますます難しくなってきそう。

重厚にならない作り方をしすぎても、「携帯機でいいじゃん」と言われかねないわけで。そういう意味では『スプラトゥーン』なんかは一つの答えになりそうですよね。



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